こんにちは。ナナ@kagoshimasoundです。
現在開催中の篠山紀信展行ってきましたー!
初日の3月8日の朝一番に県民交流センターに行ってきました。ちょうどその時間、篠山紀信さんのトークショーが行われていたらしいのですが、残念ながらトークショーは申し込んでませんでした。
みんながトークショーに参加している時間、ほぼ貸し切り状態で作品の展示をじっくり堪能することができたんです。
写真ってすごい!って改めて感動しました。
篠山紀信展写真力に行ってきた感想書きまーす。
篠山紀信さんってどんな人?
正直に言いまして、あんまり存じ上げておりませんでした。
私が知っていた篠山紀信さんのイメージは
- 宮沢りえさんの写真集「サンタフェ」を撮影した人
- 公道でヌード写真撮って問題になった人
- 朝のNHKに出てる篠山輝信さんのお父さん
といった感じで、「頭もしゃもしゃしたおじさん」くらいしか知りませんでした。
すみません。
広告に載っていた写真が気になった
それなのに、どうして篠山紀信展に行ったのかと言いますと、展示会の宣伝のために使われていた、「ジョンレノンとオノヨーコ」という写真がすごく気になったからです。
展示会会場の入り口に飾られていた写真。こちらは撮影OKとのことでした。
目を閉じている二人の心情が手に取るようにわかるような気がする写真。
曇り空で風が強くて、とても寒そうなのに、二人はお互いを信頼しあっていて、とても暖かい素敵な写真だと思ったんです。
というわけで、他の写真も見てみたいと思い、初日に行ってみることにしたんです。
篠山紀信展「写真力」を見た感想
場所は県民交流センター
鹿児島市山下町にある「県民交流センター」
初めて行ったのですが、迷路のような複雑な地下駐車場です。
駐車場の番号を忘れたら、二度と自分の車を見つけられないかもしれません。止めた場所はしっかり覚えておきましょうね。
篠山紀信展の会場
写真展は6階のギャラリー、トークショーは2階のホールで行われているようです。
エレベーターで6階に上がりました。
会場の入り口
ジョンレノンとオノヨーコのパネルがドーンとお出迎え。
かなりの大きさのパネルです。赤いじゅうたんが前に敷いてありました。
この前に立って自撮りする勇気はなかったので、パネルだけ撮影。
黒い幕で仕切られた独特な入り口
会場の中はいくつかの展示スペースに区切られているようです。
入り口で渡された資料に、展示されている写真に写っている方のお名前と撮影した年が書かれていました。
GOD鬼籍に入られた人々
真っ黒い幕がかけられた入り口を入ると、暗がりの中に数枚の写真パネルが光に照らされた独特な雰囲気のある空間でした。
空間の中に浮かび上がるように大きな写真が飾られていて、展示会でよくある作品の説明などの表示もありません。
最初の展示スペースは、「GOD鬼籍に入られた人々」というタイトルがつけられていました。
篠山紀信さんは、芸能人の写真を多く撮影されていらっしゃいますが、このコーナーはすでにお亡くなりになられている芸能人の写真が展示されていました。
入り口から入ると、大きなパネルが目に飛び込んでくるので、ハッとさせられます。
STARすべての人々に知られる有名人
GODのスペースが黒い暗幕と壁に囲まれた真っ暗な空間だったのに対し、今度は一面真っ白です。
たくさんの芸能人の写真パネルが真っ白な壁に展示されています。「ももいろクローバーZ」とか「浅田真央さん」などの、私でもよく知っている芸能人の写真がたくさんありました。
この部屋へ入るときに、暗いところから明るいところに急に変わったので、すごくまぶしい印象を感じました。
STARの説明書きには「スターがスターとしてもっとも輝く瞬間をとらえることを目指している」と書かれていました。
写真を見ていると、撮影された芸能人の目の中に光が入っていて、表情も明るく輝いているように見えます。
語彙力なくてうまく説明できないけれど、私たち一般の人が思い描くスターやアイドルの姿をそのまま映しだしているような写真です。
芸能人にも生活があってその人の背景があると思うのですが、そういったものは映し出されていない、一般の人が望む姿や、役割を演じているシーンを切り取っている感じがしました。
SPECTACLE私たちを異次元に連れ出す夢の世界
その次のスペースは、歌舞伎役者の写真が並んでいました。
説明には「写真は現実や真実の記録ではなく、虚と実のあいだに生じるリアリティが写真の力」と書かれていました。
この文章の意味がわからなくて、しばらく考えながら展示を見ていました。
歌舞伎役者の写真の中に、草間彌生さんの写真や、後藤久美子さんの写真もありました。
後藤久美子さんは、一枚の写真の中で、「不思議の国のアリス」に登場する色んな役を演じているようでした。つまり合成されているわけですね。
原色の多いポップな印象の写真で、現実的ではない感じがします。
私は、「写真というのは現実の一瞬を切り取ったもの」だと思っていましたが、ここで展示されている写真は現実ではありません。
作られた虚の世界だけれど、写真に納まることで現実になってしまうということなんでしょうか。
考えてみたら、歌舞伎も何かを演じているわけですから、現実ではないものですよね。
芸能人も作られたもので、現実ではないのかもしれませんが、それを写真にすることで現実となる。
それが「虚と実の間に生じるリアリティ」ということなのかもしれません。
BODY裸の肉体
このコーナーは人間の肉体の美しさを表現しているのでしょうね。
女性のヌードだけでなく、男性バレエダンサーや、相撲の力士の写真もこのコーナーにあります。
印象的だったのは、何百人もの力士が同じポーズで立ち並んで写っている写真です。
どういう技術なのかはわからないのですが、全員の目線がこちらを向いていて、力士たちの顔と身体が浮かび上がっているような錯覚を感じました。
他にも、笑顔でいっぱいの朝青龍が髷を直している写真があって、その横にまじめな表情の白鳳、悔しそうな顔をした貴乃花が並んでいました。
3枚を並べて見ると、そのときの力士たちの心の中が見えるようで、写真を撮影した瞬間の背景が想像できます。
そして、宮沢りえさんの「サンタフェ」の中の一枚らしき写真もありました。
ヌードなので女性らしい身体のラインがしっかり写っているのですが、全然いやらしくないんです。
背景の緑の草原の中に座っている宮沢りえさんに、陽がさして、腕の産毛や髪の毛が柔らかくフワフワと光っていて、「これはアート」と改めて思ったわけです。
裸が写っているけれど、筋肉の隆起や、ウエストのライン、膝やひじの関節の硬い線がとてもきれいだと、すごく圧倒されてしまいました。
ACCIDENTS2011年3月11日被災された人々の肖像
ここは今までの夢の中のような世界から一転して、現実に引き戻されたような印象です。
3月11日、あの恐ろしい震災を生き延びた人々の写真が並んでいました。幼い子供から高齢者まで、さまざまな方の写真です。
がれきの前に立っていますが、普通の表情をした人々が白黒の写真で写っていて、とても考えさせられます。
つらいのか、苦しいのか、助かってよかったと安堵しているのか、その表情からは読み取ることはできません。
まるで現実でないような震災が現実に起きてしまって、その出来事は「虚」のようなのに写っている人々には「現実」です。
芸能人のように写真を写すその一瞬にスターの姿を演じるのとは違って、普通の表情をした東北の人々の写真は、すごく現実感があると思いました。
篠山紀信展「写真力」を見た感想まとめ
会場に入ってみて、まず驚いたのは、展示されている写真の大きさです。
自分の身長よりも大きいサイズのパネルが空間にドーンと現れるので、すごく圧倒されます。
画素数とか構図とか被写界深度とか、写真のことは詳しくありませんが、そんなことはどうでもいいくらいに、展示されている写真から圧力を感じました。
そして落ち着いてもう一度見ると、撮影される人の表情から思いが感じられたり、その時の背景を思い描いたりすることができるようになるんです。
私もブログに乗せるためや自分の記録のために、たくさん写真を撮っていますが、私の写真とは全く別なものですね。
撮影する人、撮影される人、それを見て受け取る人。
この三者によって、写真というのは圧倒的な力が生まれるんだなと思いました。
「頭もしゃもしゃのおじさん」だった印象が180度変わって、実はすごい人なんだっていう印象になりました。語彙力!
場所 鹿児島市山下町14番50号 かごしま県民交流センター6階
開催期間 2019年3月8日(金)- 5月12日(日)
開場時間 10:00-17:00(入場は16:00まで)
休館日 月曜日休館(祝日は閉館、よく平日休み)